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About Threadスレッドリフトの歴史

スレッドリフトの歴史

スレッドリフトによるアンチエイジングの進歩は、
ここ数年めざましいものがあります。

様々なスレッド(糸)が開発され臨床でも応用されていますが、
まだまだ長期の経過は乏しく、
これからますます臨床的な評価が必要な分野でもあります。

しかしながらスレッドは突然に発展したわけではなく、
1900年代後半から徐々に研究、開発が重ねられ、
現在の低侵襲かつ有効な形に進化してきました。

現在までのスレッドの歴史を考察することは、
これからのスレッドリフトによるアンチエイジングにとって非常に重要なことであり、
また必要な事であると私たちは考えています。

スレッドリフトと関連する研究過程

  • 2012年

    ニュートンコグ(N-COG)などのカニューレタイプ(鈍針による注入)のCOG付きPDOが開発される。

    ※より進化した形として、溶ける糸で突起(COG:コグ)のついた糸を顔全体に施術する方法が選択されるようになる。当初、スレッドを入れる針が鋭針であったため、内出血や腫脹のリスクは以前のスレッドと同様であったが、2012年以降に牽引力が強く、かつ内出血や腫脹などの副作用を極限まで軽減したCOG付きの溶ける糸が開発されていく。その先駆けとなったのがスレッドを入れる針が鈍針のニュートンコグ(N-COG)である。

  • 2011年

    溶ける糸polydioxanone(PDO:ポリディオキサノン)を利用したmidface sling(中顔面の引き上げ)が韓国で始まる。

    ※最初、溶ける糸でのスレッドリフトの主流はモノスレッド(突起がなく、細小の溶けるPDO)を顔全体に100本近く美容針のような要領で入れていく方法であった。タイトニングに重点を置いた施術と言え、老化が進行して薄くなった皮膚にコラーゲンを増生させることで若々しく張りのある肌を構築する目的であった。

  • 2000年代後半

    Gold Thread(ゴールドスレッド)、EZ lift(イーズィーリフト)などの溶けない糸を利用したmidface sling(メディフェイススリング)施術

    ※突起のある溶けない糸の副作用としては顔の非対称、出血斑、紅斑、むくみ、痛症、糸の移動、 皮膚のへこみ、糸の突出などの報告があったが、大部分は経過観察でよくなる程度の軽微なものであった。しかし長期経過を考えると、ある一定の期間で溶けてしまう糸のほうが安全性が高く、より良いと考えられるのは当然の経緯だったと推察できる。

  • 2005年

    LeeとIsseによって、Isse Endo Progressive Face Lift suture施術が論文で発表される

    ※翌年の2005年にLeeとIsseは、SulamanidzeのAptosを変形させて、44名の患者をIsse Endo Progressive Face Lift Sutureで施術して報告した。

    非観血的 頬部縫縮法
  • 2004年

    Lyckaなどが、Aptosを利用した施術の結果を追加的に研究して論文で発表

    Wuなどが、Aptosを利用した施術のcomplication(合併症)を症例報告

    ※Lyckaなどは、Sulamanidzeの方法を追加的に研究して報告した。350名の患者のうち348名の患者が満足し、そのうちの半数が非常に満足したとの評価を出している。またそのうちの117名は処置後1〜2年の間に施術直後の70%程度の引き上げ効果を持続していたと評価している。

  • 2002-2005年

    Sulamanidzeなどが、Aptosを利用した施術の結果を論文で発表

    ※Lyckaなどは、Sulamanidzeの方法を追加的に研究して報告した。350名の患者のうち348名の患者が満足し、そのうちの半数が非常に満足したとの評価を出している。またそのうちの117名は処置後1〜2年の間に施術直後の70%程度の引き上げ効果を持続していたと評価している。

  • 2002年

    SasakiとCohenが、Gore-Tex(ゴアテックス)、
    Vicryl(バイクリル)、polypropylene thread(ポリプロピレンスレッド)を利用した
    cosed-/open-meloplication(中顔面の脂肪層の位置移動)施術の結果を論文で発表

    ※SasakiとCohenは1995年から2001年まで392名の患者を対象に、ゴアテックス、バイクリル、そしてポリプロピレンを用いて中顔面における脂肪層のプリケーションを行って効果を比較している。

    Kellerが、4-0 polypropylene糸(ポリプリピレン)を経皮的に施術し、結果を論文で発表

    ※Keller は、SasakiとCohenの方法を変形して、経皮的に4-0 ポリプロピレンの糸を直接側頭筋膜に固定させる方法を118名の患者に施術して報告した。しかしながら初期に使われていた溶けない糸による施術は副作用も多く、ダウンタイムも長かったため、より簡便で低侵襲な方法を求めてスレッドに突起をつけるコグ付きのスレッドが開発されるようになる。

    Keller(ケラー)法

    Sulamanidzeなどによって、Aptos(アプトス)という名の商業用barbed suture(とげのある糸)が開発される

    ※Aptosは溶けない糸の初の商業用突起糸で、10-14cmの長さの2-0 polypropyleneを、両側に突起があるようにして、糸の両端が真皮層の中で固定されるようにして筋膜などには固定しないフローティングタイプ(固定しないタイプの浮動性の糸)の糸としてである。

  • 2000年代

    2000年代になり、より低侵襲で効果が高く、患者満足度のより高い治療ができないかと模索することになる。その頃に各種レーザーや高周波装備が無数に開発され、以前とは異なり猛烈な速度で発展しはじめた。
    装備の発達によって合併症も少なく、日常生活に大きな支障も来さない施術が行われ、ある程度の効果が見えたが、以前の手術的治療と比べると、皮膚の垂れやしわを矯正するには限界があった。そこで手術的方法に比べてより侵襲的でなく、レーザーなどの装備よりは優れた効果を得るために利用され始めたのがスレッドリフトだった。
    顔に糸(スレッド)を初めて使用したのは、顔面麻痺を矯正するためだったが、のちにアンチエイジング目的で使用されるようになっていく。

  • 1990年

    Yousifなどが、SMASとは異なる概念である
    fascial-fatty cheek massをfascial-fatty layerという概念で表現

    ※1990年代からは中顔面の脂肪層に着目した論文が発表されだす。この概念が導入されてからは、頬周囲のmalar fat pad complex(お顔の中顔面の脂肪層)を1〜3mm程度再配置させるだけで、老化によるたるみの改善をみることができる、との主張がでるようになる。そういった経緯から1990年代初頭からはフェイシャルリジュビネーション(お顔の若返り)において中顔面の脂肪層の解剖学的な変化が重要視されるようになり、手術的な中顔面の脂肪層のプリケーション(位置移動)が盛んに行われるようになっていく。

  • 1976年

    MitzとPeyronieが、
    Superficial musculoaponeurotic system(SMAS)(表情筋の筋膜)の概念を導入

    ※superficial musculoaponeurotic system(SMAS)(表情筋の筋膜)という概念により、今まで皮膚を引き上げることだけに限定されていたしわやたるみの改善を、もう一歩深い層であるSMAS層を引き上げることでより改善させる方向に変化していく。

  • 1965年

    Gonzalez-UlloaとStevensが、Facial soft tissue(顔面軟部組織)の顔面老化での役割を分析

    ※Gonzalez-UlloaとStevensは、顔面の軟部組織、特に頬周囲の脂肪層の萎縮が加齢とともに顕著になるという仮説をたてる。このときからmidface(中顔面)は、skin soft tissue(皮膚軟部組織)の萎縮と漸進的な骨の再吸収によるものと考えられ、その改善のために骨移植と脂肪移植が行われはじめた。

  • 20世紀初頭

    MillerとKolleなどが、
    Surgical facial rejuvenation(顔面の若返り)に対する最初の研究を報告

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